2018.12.25

プラスチックの代替素材

国内企業の取り組み

今までも本トピックスでご紹介した通り、国際的にプラスチック問題が深刻化し、
一人一人がプラスチックの使用について本格的に考慮すべき時代が到来しました。

国内でもプラスチックストローの廃止、レジ袋の有料化といった
行政や企業の目標が散見されるようになりました。
同時に、プラスチックに代わる「代替素材」についても注目されています。

今回はいくつかの代替素材についてご紹介したいと思います。

広まる紙製品・バイオプラスチック製品

プラスチックの代替素材として使用されやすい素材が「紙」と「バイオプラスチック」です。

以前、「プラスチックのエシカル消費を目指して」にて
ご紹介しましたが、アパレル大手のH&Mは買い物袋を12月より紙製に切り替えています。

また、飲食業界ではストローを廃止したり、
紙などの代替素材で作られた製品に変更する取り組みが進められています。
(デニーズ・KFC・大戸屋でも使い捨てストロー廃止, プラスチックの海, 2018年11月12日)

ガストでは既にプラスチックストローが廃止されており、
顧客からの要望があった際はトウモロコシを原料とした
「バイオマスストロー」を提供しています。
(ガスト全店 プラ製ストロー廃止, BIGLOBEニュース, 2018年12月10日)

ガストのストローに使用されている「バイオマスプラスチック」は
主にトウモロコシやサトウキビなど植物から作られており、
石油由来素材の使用を削減することができるため、環境に優しい素材とされています。

また、微生物によって水と二酸化炭素に分解される「生分解性プラスチック」も
環境中にプラスチックを残さないため注目を浴びています。
(日本バイオプラスチック協会)

これらの素材が更に改良されプラスチック製品と変わらない強度やコスト、
汎用性を持つようになれば、プラスチックの代替素材として様々な製品に活用されそうです。

注目の新素材LIMEX(ライメックス)

紙やバイオプラスチックに企業の関心が向けられる中、
新たな素材も誕生していることをご存知ですか?

特に今、新聞やニュースなどにも取り上げられ
注目されている素材が、「LIMEX(ライメックス )」です。

LIMEXとは、国内企業である株式会社TBMが開発した
石灰石成分を主とした新素材です。
石灰石は世界各地に埋蔵しており日本でも豊富に採取できる石で、
主にセメントの材料として使用されています。

(画像はWikipediaより)

このような石がなんと、紙やプラスチックの代わりになるそうです!
LIMEX製品は少なくとも50%以上が石灰石由来成分でできており、
紙やプラスチック100%の製品よりも水や森林資源、
石油由来の素材の使用を削減することが可能です。

強度や耐水性は十分でリサイクルも可能なため、性能面ではプラスチックの代替となり得ます。
また、国内のみならず世界20ヶ国以上で特許を取得しており国際的にも注目されている素材です。

現在LIMEXには、石灰石のほかポリオレフィン樹脂(石油由来)が使用されていますが、
いずれはこの樹脂を生分解性の素材に置き換えることが検討されています。

※ポリオレフィン樹脂…プラスチックの一種で「ポリエチレン」「ポリプロピレン」などの総称。
 ビニール袋、文房具など世界中で幅広い製品に使用されている。

開発の進むLIMEX製品

プラスチックの使用削減が重視されつつある中、
実際にLIMEXを使用した製品が次々に開発されています。
以前は紙の代替である名刺や飲食店のメニュー表が主でしたが、
食器トレーや包装といったプラスチック代替の製品も次々生まれています。

「工芸みらいプロジェクト」
LIMEXを使用した漆塗りのiPhoneケースを販売しています。
色や素材に関して、LIMEXを使用したことによる違和感や、強度に対する不安は感じません。

また、「スーパーホテルLohas赤坂」では使い捨てのアメニティのくしを
今年9月よりLIMEX製のものに変えています。
(「スーパーホテルLohas赤坂」、プラスチック製「くし」を改良 主原料を石灰石とし、環境に配慮,赤坂経済新聞, 2018年10月24日)


LIMEXはプラスチックと同様に様々な形状に加工できるため、
幅広い製品に使用することができそうです。
おそらく今後、大手企業が次々とLIMEXを使用して
製品開発を進めていくのではないでしょうか。

※画像はイメージです

代替素材を上手く使っていくには

このように有用性の高い代替素材が様々存在しますが、
今後使用していくうえで注意しなくてはいけないこともあります。

そもそもプラスチックの規制がどうして起こったのか改めて考えてみましょう。
処分やリサイクルが追いつかないくらい世界中にプラスチックが溢れてしまい、
やがて環境中に流れ出て、生物に危険を及ぼす存在になってしまった事が一因だと思います。

代替素材は「環境に良い」とされ、プラスチックを削減できるとはいえ、
多くの企業で無秩序に製品開発が行われてしまえば、結局プラスチックと同じく
大量生産・大量廃棄が起こってしまうかもしれません。

また、代替素材を廃棄する際に「適切な処分やリサイクルが行われるか」ということも重要です。
今までメジャーでなかった素材は、行政や自治体によっては
回収・廃棄方法がまだ定まっていないリスクも考えられます。
せっかくリサイクルできる素材が、焼却や埋め立てに回ってしまう可能性があるのです。

素材の特性をよく吟味し、廃棄までの仕組みを考えた上で
使用することが今後重要となりそうです。

プラ問題を解決する上で本当に大切なことは…
プラ問題を解決する上で本当に大切なことは…

代替素材はプラスチックや資源に関する問題を
解消するための大きな武器となりえます。

一方で、素材の性能を過信するあまり個人の意識が全く変わらず、
プラスチックと同じく軽い気持ちで廃棄されてしまうリスクや、
処理方法がまだ広く認知されていないために
新たな問題が発生してしまう可能性もあります。

ですからプラスチックに限らず、ごみを減らす上で本当に重要なことは、

・何度も繰り返し使えるモノを購入し使うこと
・ごみは分別し、適切に処理すること

ではないでしょうか。

代替素材の使用はこれを踏まえたうえで効果を発揮するものだと思います。

本トピックスでは度々、
「問題解決に向けて一人一人の取り組みが大切である」ということをお伝えしました。

ごみは生活の中で誰もが出すものです。
行政や企業、あるいは代替素材に頼るだけでは
地球上に山積みのプラスチックごみを減らすことはできません。

これからも豊かな自然の中で健康的に暮らしていきたいですよね。
まずは、身の回りのプラスチックに目を向けてみませんか。

LIMEX公式ホームページ, 株式会社TBM

「スーパーホテルLohas赤坂」、プラスチック製「くし」を改良 主原料を石灰石とし、環境に配慮,赤坂経済新聞, 2018年10月24日,

石から紙やプラスチックをつくる? これまでの常識を覆す新素材「LIMEX」―株式会社TBM 坂井宏成×黒木重樹, JDN, 2017年7月10日,