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2024.03.07

〈開催報告〉脱炭素経営における廃プラリサイクル戦略|リサイクルを諦めていた100種に炭素貯留を提案

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企業の廃棄物管理と資源循環を支援する株式会社サティスファクトリー(東京都中央区)は、2024年2月7日にオンラインセミナー『脱炭素経営における廃プラリサイクル戦略-新たな化石資源代替と炭素貯留』を開催しました。廃プラスチックを炭素貯留するケミカルリサイクル「電炉CCS法」を、脱炭素経営に寄与する一つの戦略として解説。メーカーや小売、廃棄物処理業者など、リサイクルを重点課題とする企業の担当者100名が参加し、リサイクルを諦めていた100種の品目が寄せられました。

 

 

|経緯:脱炭素施策に苦しむ事業者が顕在化

本セミナーは2023年10月に開催した分の続編です。前回紹介した「リサイクル対象となるプラスチックの幅広さ」に加えて、炭素貯留による環境貢献のプロセスを解説しました。これは、企業から脱炭素経営のための計画や実行を強く求める声がますます聞かれるようになったことが背景にあります。当初はプラ新法対策の一つとして提案した電炉CCS法でしたが、実際に浮かび上がったのは、焼却処理を回避したCO2排出削減方法が見つからないという課題でした。そこで、プラ新法対策における課題だけでなくリサイクル困難物に対象を広げ、焼却回避に課題を抱える事業者のお悩みに直接応えるセミナーとしました。

 

〈参考:電炉CCS法とは〉
廃プラスチックを製鋼過程の製鋼副資材に再利用するリサイクル方法です。破砕・固形化して加炭材に加工し、製鉄時に鉄スクラップとともに電炉に投入して使用します。プラスチック中の炭素分が鉄に取り込まれる仕組みによりCCS(炭素貯留)できるため、脱炭素の一手法とされます。複合素材でも付着物があっても導入できるため、受け入れられる品目の幅広さが強みです。

 

|報告:脱炭素経営を目指す事業者へCO2削減のインパクトを

今回のセミナー視聴者は、メーカーや小売、産廃処理業者など、リサイクルを重点施策と捉える企業の担当者100名でした。ここでは、電炉CCS法の技術や導入事例について4部構成で解説しました。その一例として、600tの汚れプラを焼却回避することで年間1,800t-CO2の排出削減に繋がった事例を紹介しました。その効果は、杉の木20万本*が1年間に吸収する量に値します。このように電炉CCS法は、廃棄物の焼却回避方法として脱炭素経営に資するインパクトを与えられることを解説しました。また、セミナーでは視聴者から電炉CCS法でリサイクル処理したい品目を直接受け付け、技術者がその場で対応可否を診断しました。

(* 算出根拠:【林野庁「森林はどのぐらいの量の二酸化炭素を吸収しているの?」】)

 

|実情:まだ残る、焼却・埋立処理せざるを得ない廃棄物

視聴者からは、これまで焼却・埋立処理してきた処理困難廃棄物に関する質問が100件が寄せられました。そのうち、電炉CCS法でリサイクルできないものはわずか2%でした。さらにその2%の理由も技術的なものではなく、腐りやすく匂いが出てしまうものや、そもそもプラスチックではないものでした。改めて「焼却・埋立処理を回避できリサイクル率の向上に貢献できる」電炉CCS法の課題解決力を確信する機会となりました。

 

▼電炉CCS法の対象となる廃棄物例

 

|発見:排出事業者のみならず処理業者からも寄せられるニーズ

今回のセミナーでは、排出事業者にとって「これまでリサイクルできなかったものでも脱炭素に寄与できること」への気付きになりました。実際に電炉CCS法を導入する企業では、その検討過程で処理困難物とされてきた廃棄物の75%がリサイクル可能となり、残る25%も分別さえできればリサイクルできるという発見がありました。

また、視聴者へのアンケートでは、脱炭素を目的に「環境負荷低減に繋がる廃棄物処理の見直しを進めている企業」は、いまだ40%であることがわかりました。残りの58%は「これから取り組む」「検討する」と回答しています。これから環境負荷低減を考える企業にとって、廃棄物を受け入れる間口が広く焼却処理を回避できる電炉CCS法は脱炭素の新たな一手になると期待されます。

また、ごみを捨てる排出事業者側だけでなく「産業廃棄物の処理業者側も注目するリサイクル方法であること」もわかりました。処理業者からも、回収した廃棄物の中でもマテリアルリサイクルやRPF化など有効利用できない産廃二次物は、焼却・埋立せざるを得ないとの課題感が寄せられました。リサイクルを担う産業廃棄物処理業者にも電炉CCS法を利用した脱炭素のニーズが多分にあることを実感しました。

 

|展望:製鉄業界とともに脱炭素に挑む

今後は、日本の基幹産業である製鉄業界とともに、廃棄物を有効利用した電炉CCS法による脱炭素を拡大していきます。製鉄業界は石炭使用によるCO2排出のインパクトが最大だからこそ、石炭の抑制が求められています。2026年以降は大型電炉の稼働が複数予定され、従来の鉄鋼よりCO2排出量を大幅に削減した「グリーンスチール」が求められています。その中で、電炉CCS法は石炭使用を抑制し、かつCO2の新たな貯留方法となることから、グリーンスチール製造への貢献が期待されます。このように脱炭素の意義を強く感じて動き出している製鉄業界の協力を得ることで、廃棄物を資源として受け入れる新たな可能性が拡がり、石炭使用抑制だけでなくプラスチックの焼却・埋立の大幅な削減に繋げることを目指しています。

 

|開催概要

名称: 脱炭素経営における廃プラリサイクル戦略 -新たな化石資源代替と炭素貯留

日時: 2024年2月7日

形式: オンライン

対象: 再資源化や資源循環等に関心のある排出事業者様

主催: 株式会社サティスファクトリー

 

|『再資源化白書2022』販売中

全国の静脈産業への独自調査や国内外の取組み事例をもとに再資源化の動向や課題、 取組みの効果を分析した書籍『再資源化白書2022』を販売しています。26年の廃棄物マネジメント事業を通じて構築したネットワークである静脈産業1,000社への独自アンケート調査、全国9,500ヶ所の中間処分場および最終処分場への多面的な調査から、日本に根付く廃棄物や資源物の地域分散的な実情を踏まえ、浮き彫りになった資源循環の新たな価値を企業による脱炭素のヒントとしてお伝えします。(本書の概要はこちら

 

|社会を100年先に繋ぐ、環境問題解決企業

会社名: 株式会社サティスファクトリー

所在地: 東京都中央区八丁堀三丁目12番8号HF八丁堀ビルディング8F

代表者: 代表取締役 小松 武司

設立: 1996年11月

事業内容: 廃棄物マネジメント事業/環境コンサルティング事業/再資源化プロダクト事業環境教育事業/環境教育事業

資本金: 1億円

Webサイト: https://www.sfinter.com/

 

|お問合せ先
広報担当: 梅田(うめだ)
E-mail: consulting@sfinter.com