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2019.07.29

排出事業者が知っておくべき「マニフェスト」の仕組み

  • 廃棄物処理

みなさん、「マニフェスト」とは何かご存知ですか?
事業系廃棄物の処理にかかわる、大切な書類です。
(基本知識はこちらで紹介しています。)

今回の記事では、マニフェストについてより詳しくご説明します。

マニフェストの運用

マニフェストにはいくつかの種類があります。
ごみを排出する人、運搬する人、処分する人という区分やごみの運び方によって、
最終的に保管すべきマニフェストや、発行する枚数が変わってきます。
少し複雑ですが、見ていきましょう。

-1次マニフェスト-
排出事業者が運搬・処分の状況をそれぞれ把握するため、
また運搬業者と処分事業者の保管分のため、7枚つづりになってます。
1枚1枚の役割について簡単にご説明します。

(1枚目から順番に)
A票:排出事業者に関わるマニフェスト
 ・A票…排出事業者の控え
B票:運搬業者に関わるマニフェスト 
 ・B1票...運搬業者の控え
 ・B2票...運搬業者から排出事業者に返送され、運搬終了を確認
C・D・E票:処分業者に関わるマニフェスト
 ・C1票...処分業者の保存用
 ・C2票...処分業者から運送業者に返送され、処分終了を確認
 ・D票...処分業者から排出事業者に返送され、処分終了を確認
 ・E票...処分業者から排出事業者に返送され、最終処分終了を確認

最終的には、
 排出事業者の手元は、A票・B2票・D票・E票
 運搬業者の手元は、B1票・C2票
 処分業者の手元は、C1票
といったように、その産業廃棄物に関わったそれぞれが保管します。


-2次マニフェスト-
中間処理業者が処分委託者(排出事業者の立場)として、マニフェストを交付します。
流れとしては1次マニフェストと同じであり、最終処分場が処分業者にあたります。
また、最終処分場からE票が戻ってい来た段階で、
1次マニフェストのE票を排出事業者に返送します。


-マニフェストの交付-
原則、廃棄物の種類毎、運搬車毎、運搬先毎に作成することになっています。
そのため、「同じ種類の廃棄物」を「同じ運搬車両で」「同じ処分場に運ぶ」場合は1部で済みますが、

①運搬する廃棄物の種類が増える
②運搬車両が2台以上になる
③別の処分場に搬入する

上記のいずれかの場合は、2部、3部と増えていきます。
しかし、以下の場合は例外で1枚で済みます。

・シュレッダーダストのように複数の廃棄物が一体不可分の場合(一種類として扱うため)
・複数の運搬車に対して同時に引き渡され、なおかつ運搬先が同一である場合

マニフェスト報告書

マニフェスト報告書

毎年各都道府県への提出が義務付けられている「マニフェスト報告書」。
正式名称は「産業廃棄物管理票交付等状況報告」といいます。
 
事業者は毎年6月30日までに、その年の3月31日以前の1年間において
交付したマニフェストの交付等の状況に関し、「産業廃棄物管理票交付等状況報告書」を作成し、
各都道府県知事へ提出することが義務付けられています。
マニフェスト報告書の様式は各県によって異なります。
(参照:公益財団法人 全国産業資源循環連合会

-報告頻度-
・報告は年1回
・前年度(前年4月1日から当年3月31日)に交付したマニフェストについて、当年6月30日までに報告。
 例:平成30年4月1日~平成31年3月31日までの実績を、令和元年6月30日までに提出

-報告対象者-
・報告対象者はマニフェストを交付した者(電子マニフェスト交付分を除く)
・マニフェストを交付した場合は、量の多少に関わらず報告書の提出が必須
(マニフェストを全く交付しなかった場合は不要)

-報告書のとりまとめ方-
・事業場単位で作成
・産業廃棄物の排出場所の住所が異なれば、別事業場となり、別々に報告書を作成必須
・例外として、同一の都道府県(政令市)の区域内に、設置が短期間であり、
 又は所在地が一定しない事業場が2以上ある場合は、これらの事業場を1事業場としてまとめて報告書を作成
  例1:建設工事現場など
  例2:リース会社が、廃棄物となったリース品を客先で産業廃棄物処理業者に引き渡した場合など
(参照:東京都環境局

電子マニフェスト

電子マニフェストとは、その名の通り、
マニフェストを紙ではなくて電子データで運用するシステムのことを指します。

具体的には、マニフェストに記載される情報を電子化し、排出事業者、収集運搬業者、処分業者が
情報処理センターを介したネットワークでのやり取りを可能にしたものです。
一部の事業所では使用が義務化されており、
紙使用の削減効果もあり利便性が高いため、日本政府も推奨しています。

排出事業者にとっての電子マニフェストのメリットは以下の通りです。

 ①法令遵守を徹底 … 必要な入力項目が漏れている場合は注意喚起される仕組み
 ②事務作業の効率化 … 入力操作が簡単
 ③データの透明性 … 廃棄物の処理状況がリアルタイムで確認可能
 ④行政報告が不要 … 産業廃棄物管理票交付等状況報告が不要
 ⑤マニフェスト保管の不要 … 5年間の保管が不要

公益財団法人 日本産業廃棄物処理復興センターのHPによると、
紙マニフェストから電子マニフェストに変えると、
業務時間が年間3,000時間短縮できる可能性があるようです。
電子マニフェストに切り替えた事業所は、この1年間で約30,000か所ほどにのぼるといいます。

これだけのメリットがあるとされている電子マニフェストですが、
普及率は2019年6月時点で約6割に留まります。
一方で、日本政府は2022 年度には 7割の普及度を目標としています。
政府もマニフェストの電子化を推進しているため、
事業者は電子マニフェストの対応可能を義務付けられる可能性があります。
 
電子マニフェストの導入を考えている方は是非こちらを参考にして下さい。

まとめ

事業を行っている以上、廃棄物は必ず発生します。
そして、排出事業者は責任をもって廃棄物を処理しなければなりません。

「廃棄物のルールは難しそう…。」と、処理ルールについて理解しないままだと、
コスト比較のみで収集・処理業者を選んでしまいがちです。
しかし、廃棄物のルールや排出事業者の責任は「法律」によって定められていますので、
万が一業者に不法投棄されてしまった場合の排出事業者が負う刑罰は、決して軽くありません。
 
そのため、業者を選ぶ基準はコストではなく、
信頼出来る会社であることが最優先だと考えられます。
 
しかし、過去には行政から優良業者として紹介されていた業者が
不法投棄を起こてしまった事件もあります。
(例:平成11年 青森・岩手県境不法投棄事件)
 
廃棄物の処理が滞っており不法投棄が起きやすい現状において、
常に自身の廃棄物状況をきちんと確認することは今まで以上に重要になってきます。
 
とはいえ、マニフェストを管理するのに貴重な人材・時間は割くのは中々難しいところ。
そんな時は、電子マニフェストに切り替えることで業務量の大幅削減が見込めるので、
この機会に一度考えてみてはいかがでしょうか。
当社へのご相談もお待ちししております。
 

(ライター:K.I.、A.F.)

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