2018.09.10

産業廃棄物におけるマニフェストとは

  • ゴミ処理
  • 廃棄物処理
産業廃棄物の処理には「マニフェスト制度」があります。
産業廃棄物の処理には「マニフェスト制度」があります。

よく知られているマニフェスト(manifesto)という言葉が意味するのは、「宣言(書)・声明(書)」という意味の外来語。イタリア語が由来でラテン諸国の言語で用いられています。こちらは選挙の際に政党が掲げる政権公約という意味で使われ、平成15(2003)年の新語・流行語大賞受賞したのでおなじみです。

一方、マニフェスト制度の「マニフェスト(manifest)」は英語で、船舶やトラックなどで運搬される「積荷目録」のことを言います。産業廃棄物におけるマニフェストは両方の意味を含んでいるように感じてしまいますが、「産業廃棄物管理票」を意味するものであることをまず理解しておきましょう。

排出から最終処理までを見張るマニフェスト

「マニフェスト制度」とはどういったものなのでしょうか。

排出事業者は自らの責任において産業廃棄物を適正に処理することが義務付けられてます。そのため、収集運搬業者や処分会社など第三者にその処理を委託する場合、処理が完了するまでの一連の流れについて詳細に記録した「マニフェスト(産業廃棄物管理票)」を交付して把握する必要があるのです。このマニフェストの発行・回収・照合・保存を義務付けているのがマニフェスト制度ということになります。

マニフェスト制度は平成2(1990)年に当時の厚生省による行政指導でスタートしました。現在は環境省の管轄となっています。最初に義務付けられたのは平成5(1993)年4月。産業廃棄物の中で、爆発性、毒性、感染性などの危険性を伴う「特別管理産業廃棄物」の処理を業者などに委託するケースでした。

適用範囲がすべての産業廃棄物に拡大されたのは平成10(1998)年12月のこと。これまで複写式の紙による「紙マニフェスト」だけだった様式に加えて、電子情報やネットワークを活用する「電子マニフェスト」が導入され、発行・回収・照合・保存における手間が省けるようになりました。さらに、産業廃棄物に関する排出事業者責任の強化が行われた平成13(2001)年4月には、中間処理後の最終処分までが義務付けられるようになっています。

不法投棄の抑止力として効果を期待

マニフェスト制度の最大の目的は、「不法投棄を未然に防ぐ」ということです。廃棄物を処理するということは事業を営む上で後ろ向きな行為と捉えられがちでしょう。特に産業廃棄物の処理は時間と手間とコストがかかります。だからといって放置していては不法投棄が増えるばかりです。

その不法投棄をなくすために徹底してやらなければならないことが「管理」。排出事業者の責任をはっきりさせておくためには、面倒な手続きではあるけれども細かく管理することを続けていかなければなりません。2018年はこの制度が法によって義務付けられてから30年。まだまだ不法投棄は後を絶たないのが現状のようですが、マニフェスト制度は確実に抑止力となって、悪質業者の検挙数アップや不法投棄の減量という形で効果をあげています。

マニフェスト運用の流れ

マニフェストは排出事業者が処理終了をしたことを確認する証明書のようなものです。処理が適正に行われなかったことが発覚した際のことを想定して、事業者には5年間マニフェストを保存することが義務付けられています。

マニフェストには主に産業廃棄物の名称・運搬業者名・処分業者名・取扱い上の注意事項などが記載されます。7枚複写の紙マニフェストの場合、これが産業廃棄物と共に収集運搬業者・中間処理業者・最終処分業者へと渡って、それぞれの業者から処理が完了すれば控えが返送されて来ます。

電子マニフェストの場合は、マニフェスト情報の保存と管理を行う「情報処理センター」が一元で管理するため、それぞれの業者がセンターに対して報告を行い、センターから排出業者に処分が終了した旨の通知が帰ってくるシステムになっています。

義務を果たさないと刑事罰も
義務を果たさないと刑事罰も

産業廃棄物の処理には日数制限が設けられており、例えば、中間処理経由で最終処理された場合、マニフェスト交付後180日以内に排出業者が処理を確認しなければなりません。もし期限が過ぎても処理業者から報告がなかったら、排出業者には委託した産業廃棄物の処理状況を把握した上で適切な措置を講じ、さらにその旨を都道府県などに報告する義務があります。

さらに、マニフェストを交付せずに処理を行う、虚偽を記載する、適正に保存しない、遅延などの確認漏れ、廃棄物の不適正な処理などといった義務違反については、都道府県などから措置命令を受けることがあります。従わない場合には「5年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金またはこの併科」とされ、悪質な場合は刑事罰に処せられることがあることを覚えておきましょう。

事業を行う上で生産性がないようにも思えてしまう業務ですが、産業廃棄物の不法投棄を限りなくゼロに近づけていくための、企業にとって必要な社会活動です。正確に交わされるマニフェストが不法投棄を監視してくれることを忘れないようにしましょう。