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2019.03.27

SDGsと結び付きの深いESG投資とは

「SDGs(持続可能な開発目標)」の達成に貢献することを明言している企業に対して、投資家の動きも世界的に活発になってきています。
2006年、国連が金融業界に対して「責任投資原則=PRI(Principles for Responsible Investment)」を提唱しました。
2019年3月の段階で2,200以上の世界各国の企業や組織がPRIに署名しており、企業・組織の数は運用対象の資産額とともに右肩上がりで増えています(*1)。

SDGsへのコミットメントを示したり、社会的貢献の高い事業に積極的に取り組む企業を重視・選別して投資することを「ESG投資」と言います。
「ESG」は、「環境(Environment)」「社会(Social)」「ガバナンス(Governance)」の頭文字からなっています。
積極的に投資を行うだけでなく、例えば二酸化炭素排出の根源ともされている化石燃料を使った事業を展開する企業からダイベストメント(投資撤退)することも、ESG投資の一環です。

そこで今回は、このESG投資に注目して、こうした投資を企業はどうやって呼び込んでいけばいいのか、そのためにはどのようにSDGsを意識した企業戦略に取り組んでいくべきなのかについて紹介します。

莫大な運用資産額のGPIFの動きに注目

当初ヨーロッパで普及したESG投資ですが、日本ではまだまだ本格的に定着していないのが現状です。
こうした中で注目すべき出来事としては、2015年9月に年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)がPRIに署名したことです。
156兆円という世界的にも莫大な運用資産をもつ機関投資家の署名がきっかけとなり、日本においてもESG投資への関心がにわかに高まり始めました。

その後GPIFは2017年7月に3つのESG指数を選定し、この指数に連動した運用を開始しました。
そして10月には投資原則を「株式にとどまらず、債券など全ての資産でESGの要素を考慮した投資を進める」と改め、2019年3月現在、3兆円に迫る金額をESG指数に基づく運用をしています。
投資額が莫大であることもあって、注目を集めています。

ESGの具体的な方向性を示すSDGs

ESGの具体的な方向性を示すSDGs

一方、企業においてESGへの関心は高まっているのでしょうか。経営陣が興味を持ち始めていることには間違いないようです。
ただ、現状の経営方針を一気にESGへと舵切りする企業はまだ少なく、慎重な姿勢を見せています。
あるいは、経営方針は変えないまま、事業報告上でESG要素を当てはめていくという消極的な姿勢も見られています。

なぜ経済全体の士気がESG投資を受けるために上がっていかないのでしょうか。
それは、ESGのわかりにくさから来ているかもしれません。

「投資の局面で大事な要素だということはわかっている。しかし、ESGといっても、具体的に何なのか?どんなことに取り組めばESG評価につながっていくのか?」
そうした疑問の理解を助けるのが、2015年に発表されたSDGsの17の目標です。

SDGsの各目標は、例えばE(環境)では「目標13 気候変動」「目標14 海洋生物の保全」「目標15 陸域生物の保全」などが関連し、目標に紐づくターゲットがより具体的な方策を示されています。
これらは、ESGの環境指針の参考とすることができます。
つまり、SDGs達成に向けて貢献する事業展開こそがESGの潮流に乗ることであり、ESG投資を受けて事業拡大につながっていくのです。

GPIFが東証一部上場企業を対象に2018年1月から2月にかけて実施したアンケート調査では、「SDGsへの取り組みを始めている」と回答した企業が24%、「SDGsへの取り組みを検討中」と答えた企業は40%を占めました。

SDGsに賛同する企業が17の項目のうち自社にふさわしいものを事業活動として取り込むことで、企業と社会の「共通価値の創造」(CSV=Creating Shared Value)が生まれます。
その取り組みによって企業価値が持続的に向上すれば、投資家にとっては長期的な投資リターンの拡大につながります。
投資家によるESG投資と、投資先企業のSDGsへの取り組みは、表裏の関係にあるといえるでしょう(*2)。

依然として認知度が低いSDGs

日本の企業においてはまだ、SDGsはCSRの一環として捉えられている傾向があります。
SDGsはCSR担当者には浸透しているものの、一般社員、特に中間管理職には認知度が低い状態が続いているなどの報告がされています。
こうした現状は、国連グローバル・コンパクト(UNGC)の日本における推進母体である「GCNJ」と「IGES(公益財団法人地球環境戦略研究機関)」が作成した「動き出したSDGsとビジネス~日本企業の取組み現場から~」(2017年4月)と、
「未来につなげるSDGsとビジネス~日本企業の取組み現場から~」(2018年3月)におけるアンケート調査結果が詳細に伝えています。

企業価値の持続的向上にはSDGsへの取り組みが不可欠

この先、日本企業はSDGsにどう取り組んでいったらいいのでしょうか。

「未来につなげるSDGsとビジネス」では、「持続可能な社会の構築には、中核的事業とあわせて、市場環境を整備するための取り組みや社会貢献性の強い事業に関わる活動を進めることも重要」とあります。
さらに、こうした活動がコストではなく投資と見なされるためには、中長期の経営計画や戦略の中にSDGsの要素が組み込まれていることが必要とも言及されています。
環境問題や社会問題が解決されていき社会全体が持続可能になることは、長期の投資リターンを追求する上では不可欠になります。
そのために必要なのが、SDGsを戦略的に取り組むことによる企業価値の持続的向上です。
ESG投資と投資先企業のSDGsへの取り組みは、表裏の関係にあることを押さえておきましょう。

SDGsに取り組むための5つのステップ

SDGsに取り組むための5つのステップ

企業のSDGsへの具体的な取り組み方としては、国際的に企業で活用されている「SDGs Compass」を参照することが推奨されています(*3)。
2016年3月には日本語訳が公開され、実際に日本の多くの企業が参照しながらSDGsに取り組み始めました。
「SDGs Compass」では、SDGsを企業内に取り入れるために5段階のステップを設けて説明しているので、最後に紹介しましょう。

ステップ1:SDGsを理解する
ステップ2:優先課題を決定する
ステップ3:目標を設定する
ステップ4:経営へ統合する
ステップ5:報告とコミュニケーションを行う


こうした国際的に活用されるツールを用いて、SDGsを意識した中長期の戦略に取り組む日本の企業が、今後ますます増えていくことが予想されています。

■参照資料
*1 出典: PRI
*2 出典: GPIF
*3 SDGs の企業行動指針 - SDG Compass

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